措置入院について(精神医療のQ&A)
Q
以前先生から措置入院は行政入院だから、県立が引き受けるのが良いとのことでしたが、他県では措置入院も輪番でとっているのも聞きます。群馬は夜間は県立が全て。栃木は昼夜で県立が全てとっている認識です。民間が行政入院に積極的に参入しない方が良い理由など教えてもらえたら。当院通院中の患者さんが夜間発生ということで、県立に措置入院になってしまったので。大阪なら後送なのかもですが。群馬は退院まではそのまま見てしまう感じです。翌日までに後送しないと在宅退院率も下がってしまうので、退院までさせたいのは理解できます。全県一区だったところが地域ブロック別になった地域などありましたら、その経緯を教えてもらえたら参考にしたいのでそういったところはありますでしょうか。
A
もともと措置入院は都道府県の仕事です。歴史的に、その代用病院として民間に依頼されたのです。その内、県によっては民間委託が主となったこと、その方が患者が来てうれしい民間病院が増えたこと(悲しいことに歴史的には措置入院は代用監獄としてなかなか退院させないので大事な患者と思う病院も多く、私が措置入院の患者に外出させたら親父や他のスタッフから問題視され大騒ぎになったことが思い出されます。外出できる人は即刻措置解除すべきです)、まして指定医症例として必要となったことなどから、民間病院が主に変じてきたという経緯です。医療観察法の病院が各県にまだなく、偏在しているのと同じく、措置入院できる病院が県に1ケ所(県は1ケ所以上の県立精神科病院を準備する義務があることから)という原型のままのところとして、栃木、群馬などがあると思います。これは歴史の話で、本来「住み慣れたところで医療を受けるのが地域医療」とすると、入院施設も遠いのは問題です(私は救急車で45分圏内がひとつと言っています)。私が医療観察法の病院が身近にないのは地域医療に反する「島流し」と言ってきたのと同じく、措置入院できる病院が県1つというのは問題です。しかし、変えるには①県の精神科医療の基準の変更(地域医療を主とする)と②県を圏域に分けそれぞれで毎日、夜間、日中に受ける病院を準備できるか(特に指定医の準備)にかかっています。県の精神科病院協会でそうしようとすることが決まり、県に要望する必要があります。県はそうなると予算の準備も必要となりますので。 とにかくやる限りは継続可能かということです。圏域を分けているところはいくつもあると思います。すぐわかるところでは、山形、千葉、東京、静岡、愛知、大阪などが浮かびますが、日精協に聞けば詳細を教えてくれると思います。